ちょっと前に読んだ本「国際会計基準戦争」

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磯山 友幸著
本体価格: 1,500円
発行:日経BP社

書評風にまとめてみました。

「日本企業は強くなかった」——。バブル崩壊後の平成不況にあえぐ日本企業が、実はバブル絶頂期でさえ、他国の企業に比べて決して強くなかったという。それは、企業の強さを測る「モノサシ」である「会計基準」が、世界のモノサシと大きく異なっていたからだ。

本書は、米エンロンや米ワールドコムの破たんを招いた「不正経理」、その要因となった「会計基準」や「監査制度」の不備を、単に最近の米国だけの問題と捉えず、日本企業に10年を超える苦しみを与えている原因と説く。そのうえで、本格的な日本再生には、まず会計制度の再構築が不可欠である、と主張する。

日本の会計基準は、いまだにグローバルに通用するものではない。問題を先送りする官僚体質が、会計基準のグローバル化という世界の流れから日本を孤立させ、結果的に日本のバブル処理を遅らせてしまっている。例えば不況にあえぐ企業を守るために、「会計マジック」と言えるような特例措置を何度も盛り込み、バブル崩壊によって企業が抱えた「損失」を見かけ上、何度も隠してきた。

「モノサシ」を一時的に変えることで、企業の責任逃れを支援する体制は、何も会計不振にあえぐ米国だけの問題ではない。「国際会計基準に準拠する」と公約した日本は、例えば、含み損処理を義務付ける「減損会計」1つとっても、金融庁は企業への影響が大きいとして導入時期を2006年3月期まで先送りしている。

そして、国際基準にさえ準拠していない日本を尻目に、世界は、欧州と米国が会計基準制定のイニシアティブを争う「国際会計基準戦争」第2幕に突入していると著者は指摘する。1991年から、国際会計基準のイニシアティブ争いを取材してきた記者の言葉の重みは決して軽くない。「たかが基準」と考えず、本書を機に、ぜひ会計基準に対する意識を高めてはいかがだろう。


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